(IC-706シリーズ アイコム)
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CQ誌を保管している最古の通巻626号1998年8月号にはIC-706MKⅡのカラー写真が搭載。1998年12月号には新製品としてIC-706MKⅡGが搭載され、1.9MHzから430MHzオールバンド・オールモードとして生まれ変わったことなどが説明されています。
翌年の1999年4月号には、特集連動特別編として「解体選書」としてIC-706MKⅡGのユニットのカラー写真、更に大研究として詳細に内容等が記載されています。
また、CQ出版社から発売されたHFSSBトランシーバー回路図全集(2009.5)には、IC-706が搭載されブロックダイヤグラムはありますが、回路図はありませんでした。現在運用しているIC-2330モービル機と合わせ今後運用する考えです。2020.3.17 |
FT-100を保有しているが、IC-706シリーズも興味を持ち430MHzまでカバーしているIC-706MKⅡGを購入(ジャンク、故障品)を購入し研究することにしました。故障の内容は電源を入れると、その後電源が切れ、再度電源が入りその繰り返しとのこと。修理を始めるにあたり、取扱説明書、配線図、基盤のレイアウト、電源コードなどすべてがなく「本体のみ」からの出発点
① ネットで取扱説明書、配線図、基盤のレイアウトをゲット、サービスマニュアルもゲット、ただし、すべて英語である。
② 状況を確認するため電源コードを自作、万一を考えヒューズも取り付けた。
③ 配線図をプリントし、電源回路をマーカーで追いかけ、基盤レイアウトを見ながらチェック。
④ 機器を分解し、汚れ、腐食、半田やせをチェック。2020.3.18 |
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1.9-28MH |
50MHz |
144MHz |
430MHZ |
発売日 |
IC-706 |
100W |
50W |
10W |
- |
1995.12 |
IC-706S |
10W |
- |
〃 |
IC-706MKⅡ |
100W |
20W |
- |
1997.4 |
IC-706MKⅡM |
50W |
20W |
- |
〃 |
IC-706MKⅡS |
10W |
20W |
- |
〃 |
IC-706MKⅡG |
100W |
50W |
20W |
1998.12 |
IC-706MKⅡGM |
50W |
20W |
〃 |
IC-706MKⅡGS |
10W |
20W |
〃 |
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1999年4月号の特集連動特別編として「解体選書」のカラーユニットをみてPLL基板の電源回路から順次点検した。基盤が黒ずんでいるところもあり、腐食、半田やせを発見できるようにするため、工業用アルコールで綿棒を使い洗浄。部品一つ一つが小さく、半田やせ、基盤配線がよく確認できないため、パソコンマイクロスコープ(40倍のカメラ)で拡大して、チェックを始めた。分解は、組み立て時に誤って誤配線しないように、都度写真を撮って分解することが得策かと考えられる。2020.3.18 |
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PLLユニット(表) |
電源コード自作 |
PLLユニット(裏) |
電源回路のある場所 |
ヒューズの装着 |
アルコール洗浄 |
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故障個所の発見の勘所
① 故障の状況を電源を入れ動作確認(購入時のコメントと同じ状況が確認できた。)
② 電源を切り、腐食している場所、液漏れしている場所をプラスチック棒で、抵抗等のぐらつきはないかを軽く接触し確認。
③ 電源回路の不調が濃厚であることからPLLユニットを工業用アルコールで綿棒を使い洗浄。
④ マイクロスコープで不良個所の検索,回路をたどって電圧チェック、PLL回路には三端子レギュレターが2か所あり、INとOUTの電圧を調べると一つのレギュレターに既定の電圧がないことが判明した。症状は、電源が切れたり、入ったりでやはり変である。遅延回路みたいである。すなわち、コイルが入った回路だと遅延もありうると考えられる。重点的にレギュレターにつながるコイルはないか配線図と基板で確認したところ1か所あった。一見基盤を見ても錆などない。もう一度、全般を見回すと、ゴム板が数か所付いていた。はがしてみるとおや、先ほどのコイルにつながっているプリント配線が錆ついている。再度、工業用アルコールで洗浄するとラインが切れかけている様に見える。再度マイクロスコープで確認、やはり切れている。幸い基盤の端であることから1ミリ以下の配線であっても苦労したが接続できた。
再度、マイクロスコープで配線同士の接触はないか確認し終了。 2020.321 |
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錆びて切れている個所 |
アルコール洗浄後 |
プリント基板修復後 |
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●電源ON、5分、10分経過し、電源のOFF、ONの症状がなくなり、受信状態でのチェック試みたが、異常はなかった。
送信テストは、マイクがないので、既存をマイクを8ピンケーブルに変えて出力、周波数等をチェックが必要。マイクジャックは、LANケーブルが8ピンなので使用できないだろうか。試みる価値はありそう。昨日は仕事がQRT、存分に故障機器に没頭できた。2020.3.19 |
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仮マイク、PTTスイッチ |
仮電源ケーブル |
受信状況 |
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●LANケーブルを使用し仮のPTTスイッチ、コンデンサーマイクを作成し、パワーおよび変調の計測を実施した。すべてのバンドで定格の出力が確認されました。2020.3.21
●今後、IC2330の8ピンコネクタをモジュラー型の変更のため、変換コネクタを作成するか、新規に購入する必要がある。
コンデンサーマイクは、動作電圧を必要としない2極型で電気的性能は不明だが出力インピーダンスは広い様である。 |
● 受信では他の無線機と比べると明瞭度が落ちていることが判明した。内容は理解できるが少しこもった状態である。 |
〇 こもった音声の対策
ブロックコンデンサー不良と思われることからAFアンプのコンデンサ3個を交換、他の無線機同様の明瞭度となった。細かいフリント配線なので交換には十分な配慮が必要。(AFアンプの仕様を見ると470MFでは容量不足のような感じかするが既定の容量と交換)2020.4 |
 
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PLLユニットのAFアンプの3つのコンデンサ交換写真で見える
3個で交換前と交換するコンデンサの容量から最低は、470µFのところ392µFであった。±の誤差はある。 |
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● 受信音の明瞭度NGはVHF,UHF帯での出来事、HF帯で確認すると受信レベルが低い、当初送信出力は問題がなかったが再度出力を計測すると5W程度であった。問題発生か?。
受信、送信が不調ということで、不具合の場所は送受信の共通回路であろうか。再度ブロックダイアグラムから配線図をたどり、最初に各所の電圧を計測。(基盤の裏側にある計測場所は電源入れての計測は不可、裏側の電圧を、表の配線図で確認できないかと配線図と、基盤レイアウトで確認しそれぞれ計測。)要所要所の電圧はOK。
●電源オン、入らない?、あ、入った?アッテネータボタン押下、受信音が戻った?。PLLユニットからPWユニットのフレキシブルフラットケーブルを抜き差し、電源リレーが入ったり切れたり。フレキシブルフラットケーブルを揺すると切れたり入ったり。
〇原因はこのケーブルだろうか。コンデンサー交換時に数回PLLユニットの基板を取り出す際、注意深く抜き差ししたがフレキだけに断裂したのだろうか。ケーブルを取り出し30ピンの導通を確認したところ、数本導通がない。原因はこのフレキシブルケーブルと考えられる。
〇ケーブルの交換が必要。さて代替品はあるのだろうか。2020.5.3
〇メーカに問い合わせるも丁寧な説明があったが、部品はすでに欠品していること。(当然20年以上経過しているのやむを得ないと考えます。) フラットケーブルを計測すると、30ピン、0.5ピッチ、70ミリの製品と分かった。
ネットで検索するも同等品は出てこない。代替品として30ピン、0.5ピッチ、50がヒットかろうじて取り付けが可能と考え即購入。
到着し、取り付けることとするが接触する部分が合わない。失敗した。長ければ対応も可能だが、既製品より短く反転できない。調べると、Aタイプ、Bタイプがあるようである。また、検索し代替品、中古品を探すこととなった。2020.05.12
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30ピン、0.5㎜、70㎜シールド付 |
30ピン、0.5㎜、50㎜ |
装着されていたケーブル |
購入したケーブル(Bタイプ)装着不可 |
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